事業内容

IoT/M2Mとは(ワイヤレスIoT/M2Mとは)

IoT(アイ・オー・ティー:Internet of Things)とは、モノのインターネットを指し、全てのモノがネットワークを介して繋がり、モノ同士が人の操作・入力を介さず、自律的に最適な制御が行われることを意味します。
M2M (エム・ツー・エム:Machine to Machine)とは、個別に稼働している機器同士をネットワークでつなぎ、これらが相互でやりとりできるようにして、各々の機器で生成されたデータをリアルタイムで統合、制御し、活用することができるシステムを意味します。
IoTがインターネットの特性であるOPEN性を活かすことを指向するものであるのに対して、M2M は必ずしもOPENであることを必須条件とせず、むしろCLOSEDな環境で活用されています。


IoT/M2M説明

IoTは第三次産業革命の集大成

産業革命は、歴史上、コミュニケーション手段/エネルギー源/輸送手段という3つのインフラにおいて革新的なテクノロジーが導入され、相互に影響し合い実現されてきました。
第一次産業革命においては、石炭を燃料とする蒸気印刷機が発明され、蒸気機関車による鉄道輸送と相まって、遠隔地間での迅速な商取引を可能にしました。
第二次産業革命においては、石油を燃料とする自動車が発明され、全国的な道路網の建設により郊外型の商業開発や宅地開発が進み、それに伴い電気インフラと電話網が広がりました。
現在進行中の第三次産業革命においては、コミュニケーション手段としてのインターネット通信は成熟期を迎えており、太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギーも電力採取テクノロジーの指数関数的な発展によって普及期を迎えており、輸送手段については、GPSを搭載した自動運転車やドローン技術の活用が研究されています。
これら3つのインフラはデジタル化され、IoTプラットフォーム上で統合されることによって社会の動向に関する膨大なデータが収集可能となります。
このビッグデータを高度な分析手法で処理することで、自動化システムや予測用アプリケーションが開発され、効率性・生産性が劇的に向上した質の高い生活を享受できる新しい社会システムを実現しうると考えられています。


第三次産業革命

インダストリー4.0(Industrie 4.0)

ドイツでは、スマートな工場へのIoTの導入は第四次産業革命の現れだとして、政府、産業界、学界が総力を挙げて、「インダストリー4.0(Industrie 4.0)」と呼ばれる巨大プロジェクトに取り組んでいます。
インダストリー4.0が目指しているのは、生産工程のデジタル化・自動化・バーチャル化によってコストの極小化を実現し、製造業の競争力の維持・強化を図ることです。
インダストリー4.0を実現する手段として、現在、ドイツの電機・機械メーカーなどが必死に取り組んでいるのが、「スマート工場(自ら考える工場)」の開発です。
スマート工場は、生産拠点や企業の間をインターネットで結んだ生産システムであり、製造に関わる企業は物理的に近い場所にある必要はなくなります。
つまり、スマート工場では、インターネットの特徴である「リアルタイム(即時)性」を最大限に活用し、生産工程に関わる企業が、ネットを介して伝達される情報に反応して、生産・供給活動を自動的に行います。
人間が関与しなくても、機械がネットを通じて情報を伝達しあい、生産工程を最適化するため、企業は人件費を大幅に減らすことが可能になります。
また、スマート工場では、様々な生産ラインがつながり、膨大なデータを即時にやり取りでき、仕入先や生産工程を自在に組み替えることが可能になるため、顧客一人ひとりの要望に応じた「一品モノ」を量産品と変わらない価格で製造・販売できる「マスカスタマイゼーション(個別大量生産)」が実現可能となります。

IoTの発展を支える要素


IoT発展要素

IoT/M2M/センシングデータの市場規模

IoT/M2Mを可能にしたのは、モノの状態をデータ化する「ICタグ」や「センサー」の進化・普及と、「ICタグ」「センサー」と「無線通信技術」との結合です。
IoT/M2Mの対象となる機器は国内だけでも10億個あると想定されています。
全世界では、2015年には250億台、2020年には500億台のデバイスがネットワークに接続されるようになると言われています。
IoT/M2M市場は、いまだ黎明期であり、IoT/M2Mに期待できる領域は広大です。

IoT/M2M/センシングデータの可能性

センサーデバイス/コントロールデバイス/通信コストの低下により様々な分野で遠隔監視や遠隔制御が行われることが考えられます。
そして、センシングデータやコントロールデータがネットワークの中を飛び交い、それが共有されるようになれば新たな付加価値を生むことが期待されます。

例えば、以下のようなアプリケーションが考えられます。

  • スマートロック・・遠隔による開閉や期限付きキーにより、民泊や不動産内覧など
  • スマートホーム・・電力監視、家電操作、在宅確認、セキュリティ、室内環境管理
  • ホームセキュリティ・・不審者検知通報システム(鉢合わせ防止)
  • 見守り・・独居高齢者の異常検知通報システム
  • マーケティング・・店舗内の顧客動線分析、デジタルサイネージ、O2Oサービス
  • 移動体資産の現在地把握・・空港、商業施設、病院、工場、倉庫における移動体の位置情報取得
  • 移動体資産の状態把握・・輸送用コンテナ内の温湿度管理
  • 農業・・温度・湿度・光量・CO2濃度などを制御したスマートアグリ(農業クラウド)
  • 介護・・転倒防止、入居者の健康情報管理、機器の利用状況管理、訪問介護支援
  • 環境・・気象データの収集、防災情報の配信
  • エネルギー・・太陽光発電のモニタリングと制御など
  • 人工構造物・・経年劣化による事故防止状(監視)、騒音・振動データの収集
  • その他・・フィールド作業支援、ドライバーの労務管理、消耗品残量管理など

IoT/M2M/センシングデータの課題

IoT/M2M/センシングデータ・サービス市場拡大のために欠かせないのは、次の4点です。

① 端末/センサー/通信モジュールの低価格化
アプリケーションごとに専用機能を持つセンサーの開発も欠かせません。無線通信とセンサー技術の融合が不可欠です。

② ニーズの発見とアプリケーション開発
通信モジュールとモバイルインターネットを含めて一気通貫でサービスを提供したいSIerは数多います。
IoT/M2Mの基盤を低コストで実現し、それをアプリケーションや顧客を持ったSIerなどパートナーに利用してもらうことがIoT/M2Mサービス拡大につながります。

③ 無線通信サービス自体の低価格化と高速・大容量化
通信料金体系については自動販売機が典型ですが、IoT/ M2Mの場合、1台当たりの通信量と通信料金は小さくとも、大量の機器に適用すれば通信料金は高額になります。
そこで、通信料金についてはLTEの実用化等により、大幅に下がることが期待されます。

④人材の育成と開発体制の確立
IoT/M2Mシステムおよびサービスを開発するに当って大きなハードルとなるのは、ハードウェア、ウェブ、システム全ての知見が必要である点です。
ハードの作り手とソフトの作り手が断絶している、今日のモノづくり環境からすると、 競争力あるIoT/M2Mシステムを生み出せる企業は非常に限られると言わざるを得ません。
そこで、ハードウェアおよびソフトウェアに精通した人材の育成を進めるとともに、ハード屋、ウェブ屋、システム屋を有機的に連携させた企業間プロジェクトを前提とした開発体制を確立する必要があります。